2010年12月01日

乾燥肌のスキンケア

乾燥肌のスキンケア

 
空気が乾燥する秋から冬になると肌が乾燥してかゆみに悩まされる方が
多くなります。
今回はその対策についてお話したいと思います。


どうして乾燥肌になるのでしょう?

 
皮膚のうるおい(水分量)は、皮膚の表面の角質層の外側にある「皮脂」、
「角質細胞間脂質」、「天然保湿因子」などの保湿因子によって乾燥から守られています。この保湿因子は生活環境、年齢、生活習慣、体質などにより減少し乾燥肌になってしまいます。
角質層がはがれた乾燥肌は、隙間からアレルゲンや刺激物質が入り込みやすく、
かゆみや湿疹、かぶれを起こしやすくなります。


@
   
生活環境:冬の湿度低下や暖房による乾燥、夏でも冷房による乾燥で
   肌は乾燥します。

A
   
年齢:年齢を重ねるごとに皮脂の分泌は低下しています
 (皮脂の分泌量は
20代をピークに50代から大きく減少します)。
   加齢により皮膚も薄く敏感肌になります。


B
   
生活習慣:入浴の際、熱いお湯に長く入ったり、石鹸やシャンプーの刺激、
  また強くこすることにより肌は乾燥します。
  ダイエットも乾燥の原因になります。

C
   
体質:アトピー体質の方、糖尿病、腎不全などの病気の方は
   皮脂不足になりがちです。



乾燥肌のスキンケア


@
   
入浴:皮脂をとりすぎないことが大切です。
   お風呂に長く入り過ぎたり、石鹸やナイロンタオルなどを使って
   ごしごし洗いすぎないようにしましょう。
   石鹸は低刺激性のもの、脱脂力のマイルドなものを使い手のひらで
   やさしく洗うといいでしょう。

A
   
お部屋の乾燥に注意:空気が乾燥すると皮膚の乾燥やかゆみも
   ひどくなります。加湿器などを使ってお部屋の湿度を保ちましょう。

B
   
刺激の少ない肌着に:皮膚を刺激するとかゆみがひどくなります。
   肌着類は、なるべく肌にやさしく吸湿性の高い木綿製にし、
   洗濯はすすぎを十分に行ってください。

C
   
掻かないことが大切:掻くと症状がひどくなるので、できるだけ掻かない
  ようにがまんしてください。爪は短く切りましょう。
   からだがあたたまるとかゆみが増します。
   かゆい時には保冷剤等で少し冷やすと楽になることが多いです。

D
   
十分な睡眠とバランスのよい食事を:過度なダイエットも肌の乾燥の原因
   になります。バランスのよい食事を心がけ、よく眠り、休養を十分にとる
   ことも大切です。

E
   
アルコールは控えめに:アルコールや香辛料などの刺激物を取り過ぎると、
   からだが温まり、かゆみがひどくなります。
   できるだけ控えめにしましょう。

F
   
お薬を正しく使いましょう:皮膚にうるおいをあたえる保湿剤、
   またかゆみや湿疹を抑える塗り薬(ステロイド剤)飲み薬などがあります。
   保湿剤は角質層に水分が残っているうちにぬった方が有効です。
   お薬は医師の指示を守り、症状に合わせて正しく使いましょう。

  
 
  皮膚の保湿を心がけ潤いのある美しい肌を保ち、快適に冬を過ごしましょう。

                      

                                      福住皮膚科クリニック 院長 安田秀美

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2010年10月08日

意外に多い爪のトラブル:巻き爪・爪周囲炎B

引き続き、巻き爪の治療その3です。

その3:外科的方法

    上述の方法でうまくいかない、あるいは保存的治療を行うだけではとても
    改善が期待されないと思われるような重症例では外科的治療が功を奏します。
    この場合、爪を抜く、剥がすといった操作を伴いますが、
    冒頭にも述べましたように、爪は骨などではなく皮膚の一部ですので、
    爪の手術は一般に思われているほど厳しくつらいものということはなく、
    最近ではあとで述べますようにフェノール法という侵襲度が低く有効性の高い
    方法が診療所レベルで頻用されるようになってきています。
    外科的治療・手術となると局所麻酔による鎮痛処置が前提になります。
    通常は足のゆびの付け根の神経をねらって麻酔薬を注射する伝達麻酔法を
    行いますが、爪の症状が軽い場合は炎症部位のみに作用する
    浸潤麻酔をすることもあります。
    注射の3時間ほど前にあらかじめ麻酔薬を含有したシールを貼っておいてから
    行うと麻酔時の痛みはより軽減されます。
    以下の方法はいずれも局所麻酔後行います。

    単純抜爪法:食い込んだ爪甲を剥離、除去するものです。
          爪の両側が食い込んでにっちもさっちも行かない場合
          などは爪の全てを除去する場合もありますが、
                   両側でもあまりひどくない場合や片方のみの場合
                   などは、食い込んでいる爪甲数ミリのみ切除して
                   中央部は残す、あるいは患側半分ないし3分の1の
                   部分のみ除去する程度で済みます。
                  
                   いずれの場合も除去する爪の下床の皮膚と俗称
                  「甘皮(あまかわ)」と呼ばれる爪小皮と爪の間を
                   専用の器具で鈍的に剥離し、浮いた爪を縦にまっすぐ
                   切って爪小皮の奥の爪の根っこまで完全に切除します
                   手術後は抗生物質の軟膏で患部を傷が落ち着くまで
                   保護していきます。
                  
                   この操作によりこれまで苦しんでいた爪の食い込みに
                   よる痛みはたちどころに消える一方で、手術による
                   痛みは多くの場合軽度です。
                   術後は若干出血しますが普通はほどなく止まり、翌日
                   ないし翌々日にはシャワー浴も大丈夫です。
                   傷が大体乾くのに10日〜2週間くらいかかりますが、
                   それまで軟膏ガーゼを巻いておくだけでよく、
                   あとは通常の生活ができます。
                  
                   抜いた爪はやがて必ず生えてきますが、食い込んだ爪
                   による皮膚の炎症が解除されたことで腫れが退くため
                   理想的には新たな爪が周囲の皮膚につっかえること
                   なく順調に指先の皮膚の上に延びてくれれば一件落着
                   ですが、より薄いタイプの爪でスポーツなどを
                   継続して行っている場合、また食い込んでくる可能性
                   もありますので、再発予防のために、通常より長く
                   軟膏を塗り続けるとか、前述のテーピングを日常的に
                   行うとかのケアを行った方がよいかと思われます。

               ・
爪甲形成術:単純抜爪では後日必ず爪が再生しますので
                   湾曲の強い爪はこの方法でもやがてまた湾曲した爪が
                   生えてきて皮膚に食い込んでくる可能性が高いです。
                   単純抜爪で再発の可能性が高く、かつ、
                   爪の食い込みによる症状が強い場合、より根治的な
                   方法が必要な場合があります。
                   甘皮(爪小皮)の奥にある爪を作る細胞のある部分
                  (爪母;そうぼといいます)を何らかの操作により
                   除去してここから爪が生えてこなくする外科的方法を
                   爪甲形成術といいます。
                  
                   これらの中で、爪母の部分を純粋に外科的に切除する
                   方法と、フェノールという薬品で化学的に腐蝕させて
                   爪母細胞を消滅させる方法がよく知られます。
                   純粋に外科的な方法は従来主として形成外科領域で
                   考案、改良されてきていますが、主流となる方法は、
                   爪の食い込んでいる部分を周囲の皮膚もろとも楔形に
                   切除し、残った爪のへりに小孔を開けて糸を通し周囲
                   の皮膚としっかり縫い合わせるというものです。
                   この方法で治療効果を確実なものにするには、
                   爪の根っこにある爪母を確実に除去する必要があり、
                   したがって皮膚・爪の切除部分をやや大きめに切除
                   した方が確実ではありますが、そうするとやや局所
                   への侵襲が大きくなり、術後数日はできるだけ局所を
                   安静に保つ必要があり、したがって原則として
                   入院治療が望ましい、ということになり、
                   当法人のように外来診療を行っている施設では
                   なかなか行いにくい、さらに、侵襲の強い分、
                   より術後疼痛が強く出血もある程度予測されるという
                   難点があります。
                  
                   この難点を見事に解決する優れた方法にフェノール法
                   という方法があります。
                   これは爪母の部分をフェノールという薬品で化学的に
                   腐蝕させて消滅させるというもので、爪の食い込んで
                   いる部分を爪母部分までまっすぐ切除するまでは
                   単純抜爪法と同じなのですが、その後爪を抜いたあと
                   の小さな空洞に露出している(目には見えない)爪母
                   細胞をフェノールを浸した綿棒を何回も押しつける
                   ことで消滅させるというものです。
                   フェノール処理後は縫合は行わず、傷が落ち着くまで
                   毎日軟膏ガーゼをあてるという処置を行います。
                   薬品で焼くために傷が乾くまでの日数は単純抜爪
                   よりは数日長いですが、周囲の皮膚の切除も行わなず
                   糸で縫合することもないため、術後の安静が
                   ほとんどいらないという利点があります。

                   手術当日は若干の出血が予想されるためやや厚めに
                   包帯を巻く必要がありますが、翌日からは小さい
                   軟膏ガーゼを当てるだけで充分で、術後3日目には
                   そのまま入浴も可能となります。
                   爪母を消去した爪の部分からはもう爪が生えてきませ
                   んので、この部分はやがて周囲の皮膚で覆われます。
                   その結果、術前より幅の狭くなった爪になって
                   落ち着きます。
                   診療所レベルで難治性の強烈な巻き爪はこの
                   フェノール法で威力を発揮する可能性が高く、
                   繰り返す巻き爪に対し、もう再発したくない、
                   しっかり治したいという方はぜひ受診されて担当医と
                   相談されてはいかがでしょうか。
                  
                   ただ、若年者のさほど巻いてはいないが薄い
                   かみそり状の爪が脇の皮膚に刺さってつらい、という
                   場合は、この方法でも再発する可能性がありますので
                   この場合もどの方法が相対的にベストなのか慎重に
                   担当医とご相談されては、と思います。
 


おわりに 

 ここには紹介しきれていませんが、巻き爪・爪周囲炎の治療法は専門書を
 ひも解くと、保存的治療、外科的治療ともにかなりの方法が考案されている
 のがわかります。
  これはとりもなおさず、巻き爪・爪周囲炎で苦労している人々が古今東西いかに
 多数いたか、いるか、そして今後も発生するであろう、ということを示しています
  それはまた、この疾患の症状の微妙なヴァリエーションも大変多岐にわたっている
 ことを示唆しているようにも思えます。
  巻き爪・爪周囲炎で苦しんでいる方々が最も自分にあった対処法を
 廣仁会ドクターとの診察の中で見出して頂ければ望外の喜びです。

                                            
                     野幌皮膚科医院 院長 冨澤 幸生
posted by 医療法人社団 廣仁会 at 09:52| 北海道 曇り| 一般皮膚科治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月26日

意外に多い爪のトラブル:巻き爪・爪周囲炎A

巻き爪・爪囲炎の治療 

 さて、ではこの巻き爪・爪囲炎をどう治療すればよいか、ということになりますと、
考え方としては先に述べた巻き爪の発病・悪化要因を可及的に取り除く、ということになります。
つまり、爪の角・へりが皮膚を圧迫して刺さりこむ状態をなんらかの方法で改善する、
ということになります。

 以下に順を追ってお話します。

その1:爪が食い込んでいるのだから、食い込んでいる爪の先の部分を
    爪切りで切ればよい
という考えはもっともなのですが、
    ひとつ注意が必要です。
    
    それは、食い込んでいる爪を爪切りなどで、斜めに三角形に切ることは、
    とりあえずの応急処置としてはやむを得ない場合もありますが、
    この処置は実は巻き爪の悪化要因である深爪をまた新たに作り出している
    ことになり、この処置により短くなった爪が伸びていって後日さらに深く
    皮膚に食い込んで症状を悪化させることが非常にしばしばあるのです。
    
    従いまして、もし現在の痛みの軽減のためにやむを得ず爪の角を落とす
    のであれば、その後のアフターケアをしっかり行って新たに爪が
    食い込まないように対策を講じる必要があるのです。
    もっとも、爪の角を切りたくても食い込んだ爪の周りの皮膚が
    腫れてしまって、爪切りが入らず切りたくてもできない、という場合は
    別の方法が必要になります。


その2:爪を切らないで食い込みを少しでも軽減する工夫(保存的治療)

    食い込んだ爪による周りの皮膚への刺激・圧力を軽減する工夫・処置には
    これまでにさまざまな方法が考案されています。
    まず外科的手法によらない保存的方法をいくつか紹介します。
      
     ・
テーピング:
     伸縮性があって粘着力の強い弾性テープを短冊状に切って
     食い込んでいる爪の横に貼り、下方にひっぱりながらぐるりと
     らせん状に指に巻いて、食い込んだ圧力を軽減する方法です。
     症状の軽い場合ならこの方法でも改善が期待されますし、
     どのようなタイプの巻き爪にも適用できる便利な方法です。
     スポーツを行う人は日常的にこの方法を取り入れるとよいのでは
     ないかと思います。
      
     
     ・
小綿球をあてがう:
     皮膚に食い込んでいる爪の角を少し持ち上げてから、その下に脱脂綿を
     小さく手ごろな大きさに丸めてあてがって爪からの圧力を緩和させる
     方法です。
     この時食い込んでいる爪が少しでも浮くように上に起こすと
     より効果的です。
     家庭で行う場合は、やや長く入浴したり熱めのお湯をくんだ洗面器に
     足を数十分浸しておいて、爪が多少柔らかくなったところで
     静かに起こすといいと思います。
     私たちの診療所などで行える方法としては、爪をつまんで起こす
     器具である鉗子(かんし)をアルコールランプなどで熱してから爪に
     当てがって起こすと爪の巻きが開きやすくなり、より効果的です。
      
     
     ・
抗生物質の内服、外用:
     爪囲炎はほぼ常に爪の角が大なり小なり皮膚に食い込んでいるため、
     皮膚が傷ついて通常の皮膚よりも化膿菌が多く付着している
     ことが普通です。
     したがって、このような場合普段から入浴、洗浄など清潔を心がけなければ
     なりませんが、爪の食い込みの傷からこれら化膿菌が侵入して大なり小なり
     二次的な細菌感染を併発し、腫れ、発赤、痛みなどの炎症症状が
     悪化することがしばしばあります。
     このような場合、患部の清浄化に加え、化膿菌を殺す作用を持つ抗生物質が
     含まれた軟膏の外用ないし抗生物質の内服を行うと腫れがひいて
     楽になります。
     痛みが強い場合には消炎鎮痛剤の内服も行うことがありますが、
     これは原因療法というよりは対症療法の意味合いが強く、
     鎮痛剤を何日飲んでも効果が現れない場合は漫然と続けずに、別の方法を
     考慮する必要があるでしょう。
      
     
     ・
チューブ挿入法:
     食い込んだ爪によって生じた傷から赤い肉芽が増殖して爪の角を覆い
     隠してしまって爪を起こすことが難しい時に試みられることがあります。
     点滴用のプラスチックチューブを1センチほど切り取ってきて、
     これに縦方向に切り込みを入れます。
     そしてこの切り込みの隙間に爪を差し込むと皮膚側はチューブの丸い
     背の部分で爪から守られる格好になります。
     この状態でチューブを患部の奥まで(痛みが我慢できる範囲内で)
     挿入して固定し、爪からの鋭的圧力を緩和する方法です。
     うまくいくと大変有効ですが、はずれやすい、重症の爪周囲炎では痛くて
     挿入が
困難であるなど、この方法で効果が期待できるケースの選択が
     必要です。
      
     
     ・
化学的腐蝕:
     肥大した赤い肉芽がある場合、この肉芽のせいで症状の悪化・遷延を助長
     することが多いため、肉芽を何とかして除去・縮小させる必要があります
     肉芽に対し硝酸銀などの薬品を塗布し、化学的に腐蝕させて肉芽を
     縮小させることがありますが、多少刺激感を伴います。
     最近では入手がやや困難になってきています。
     湿疹・皮膚炎の治療に日常的に用いられるステロイド外用剤は肉芽を
     縮小させるという薬理作用を持っているため、
     一時的にこの外用剤を用いることもあります。
   
   
形状記憶ワイヤーを使用:
     比較的手法が簡便で痛みを伴わずにそれなりの効果が期待できる
     かなり「すぐれもの」的な方法と思われます。
     この方法を行うためには爪が皮膚より数ミリ伸びていることが必要です。
     爪がきっちり短く切りそろえられている場合は多少延びるまで
     待たねばなりません。
     爪が必要な長さに達したところで伸びた爪の左右2ヶ所に小さく穴を開け、
     ここに形状記憶合金でできた細いワイヤーを「へ」の字型に
          挿入するのです。
     こうすることで「へ」の字型に湾曲したワイヤーの復元力、
     つまりまっすぐになろうという力が恒常的に爪甲にかかることになり、
     この復元力により爪甲の湾曲が緩和されて食い込みが軽減する
     というものです。
     通常の保存的治療になかなか反応しない、かといって、痛みを伴う
     外科的治療はどうしてもしり込みしてしまう、という場合、
     まず試みるべき方法と思われます。
     
     当法人では持病を多数抱えた体の不自由な多数のお年寄りや障害者の方々を
     対象に在宅往診部による往診事業も行っていますが、
     往診部を利用される方々の中には巻き爪・爪囲炎のトラブルを訴える方は
     ことのほか多く、ワイヤー法による治療はこれらの方々に
     大いに威力を発揮しています。

 次回は、治療その3以降のお話です。

                        野幌皮膚科医院 院長 冨澤幸生
posted by 医療法人社団 廣仁会 at 12:18| 北海道 晴れ| 一般皮膚科治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月31日

意外に多い爪のトラブル:巻き爪・爪周囲炎

今回は爪の話をいたしますが、まずはじめに、
誤解されている方がいらっしゃるかもしれませんので言っておきますと、
爪は皮膚の一部の器官なのです。
よく爪に何らかの症状が出た場合、この治療はどこに行けばよいのか、
外科なのか、整形外科なのか、などという話をしばしば耳にしますが、
爪は骨などとは関係がなく、皮膚の細胞が指先を保護するために特殊化したものなのです。
したがって、爪の病気は一義的には皮膚科で診療されるべき疾患なのです。
爪の病気とひとくちにいってもさまざまなものがありますが、
受診される患者さんの頻度からいうと、最も多いのが
爪の水虫;爪白癬(はくせん)で、次に来るのが巻き爪・爪周囲炎ではなかろうか、
という印象で、実は意外に多い皮膚疾患です。
今回はこの疾患の話をします。
 

巻き爪・爪囲炎とは
 
 巻き爪はほとんどの場合、足の最も大きなゆび(第1趾)の爪に生じます。
基本的症状は爪の固い部分;爪甲(そうこう、といいます)の
両端の角(かど)がそれを取り囲む皮膚に食いこむことで生じる痛み、
発赤、腫れといった炎症症状ですが、一口に巻き爪といっても
そのタイプは一様ではありません。
この症状が生じるタイプは大きく分けて二つに分けられるように思います。

 ひとつは、爪の巻き具合は軽度かほとんどないのですが、爪の厚さがむしろ薄く、
あたかもかみそりのような状態になって周囲の皮膚に刺さりこむものです。
このタイプでは常に周囲の皮膚に爪の鋭的刺激が加わり続け、
刺激に対する反応として皮膚は腫れ、赤みを帯び、やがては肉芽(にくげ)
というすぐ出血する真っ赤な血管のかたまりからなるこぶが増殖して、
さらに爪への圧迫を助長するという悪循環を生じます。
このタイプは10代から20代の比較的若年の世代、
それもスポーツ活動を盛んに行う人たちに多い印象を受けます。

 第2のタイプはまさに名前通りの巻き爪で陥入爪(かんにゅうそう)ともいい、
爪甲は馬の背に載せる鞍(くら)のような湾曲した形をなし、
多くの場合爪の伸びが遅延しているため爪甲は厚く固くなっています。
この湾曲した爪甲により圧迫された両側の皮膚あるいは湾曲した爪の内方に
挟まれる形になった皮膚に痛みを生じるのです。
このタイプでは爪の湾曲は比較的ゆっくり生じるため、
見た目はたいそう湾曲して食い込んでいても、その状態になれてしまって
不都合をまったく生じない、という方も時にいらっしゃいます。

 いずれのタイプにしても、発病ないし悪化の誘因として、
爪の切りすぎ(いわゆる深爪;ふかづめ)、過度の爪甲部への圧力の負荷があげられます。
爪を定期的に切ることは衛生上大切なことなのですが、美容的見地からか、
皮膚から遊離して離れた爪甲部分が少しも残らないようすべて
きれいに切り取ってしまうといった習慣があると、ときに爪の角が皮膚に食い込んで、
症状発現の出発点を形成することになります。
このような状態のときに持続性の圧迫、例えば足先がぶつかるようなきつい靴や
かかとの高い靴を長時間履いている、とかスポーツ、特にサッカー、バスケットボール、
走り幅跳びなどのような足先に強い荷重が頻繁にかかるような運動を
日常的に行うことによって、深爪をして短くなった爪が角の皮膚へめり込んでしまい、
この刺激のために皮膚が腫れてきて、爪の食い込みが相対的に増強します。
ここで皮膚の表面が爪により傷ついて破られるとその傷をふさぐために
肉芽(にくげ)という毛細血管のかたまりからなる組織が増殖してくるのですが、
爪からの刺激が持続すると肉芽の増殖の信号が出っぱなしという状態になって、
肉芽のかたまりがどんどん大きくなることがしばしばあります。
この時、ふさがれない皮膚の傷から化膿菌が入り込んで細菌感染を起こすこともまれではなく、
そうなるともう我慢しきれずやむなく医療機関を訪れる、ということになります。

 次回は巻き爪・爪周囲炎の治療のお話です。

                      野幌皮膚科医院 院長 冨澤幸生
posted by 医療法人社団 廣仁会 at 09:50| 北海道 霧| 一般皮膚科治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月01日

ステロイドは魔法のおくすり?A

 さて、前回のコラムではステロイド外用剤の特徴について述べましたが、今回はその続きで、副作用についてお話しさせて頂きます。 
ステロイド外用剤の副作用で代表的な物を挙げます。
@ 皮膚が薄くなる(萎縮)
A 毛細血管が拡張する(いわゆる「赤ら顔」はこれ)
B 毛が濃くなる
C 肌の色が白く抜ける
D 感染症が悪化
E かぶれる
 
 Dは前回のコラムでも書いた通りで、間違って使わなければ大丈夫。
 Eについては、ステロイドはかぶれの治療薬でもありますが、稀にステロイド外用剤の成分に反応して、逆にかぶれてしまうこともあります。
こればかりは塗ってみないと分かりませんので、万が一かぶれてしまった場合は外用剤を変更します。
 

 
問題は@からBです。
ここでのキーワードは『長期間』で、いずれも強いステロイドを『長期間』使用すると起こりやすいものですから、皮膚科医もなるべく強いものは使わず、かつ使用期間を短く、をモットーに (?) 治療にあたりますが、やはり病気の種類や勢いによっては長期使用せざるを得ないこともあり、その場合は必ずきちんと説明をして納得して頂いた上で処方しています。

 
 また、特に@、Aは顔面に生じやすく、弱いステロイドでも『長期間』外用してしまうと高率に出現します。
これは「酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん)」という病名までついているくらいで、毛細血管が開いてしまうため常に赤ら顔で、ちょっとした刺激(気温の変化、発汗、摩擦、ストレスなど)ですぐに火照ってしまったり、ニキビのようにボコボコになったりします。一度発症すると、少なくともステロイドを塗った期間の23倍の治療期間が必要になり、精神的にもかなりの苦痛を強いられます。
従って我々も、顔面にステロイドを処方する際には細心の注意を払っています。
皆様も顔面に塗る際には、調子が良いからといって漫然と『長期間』塗り続けないようにしましょう!!
 

 
余談としてCの「肌が白くなる」についてですが、ステロイドにはメラニン産生を抑える作用があるために起こる症状です。
多くの方は逆に「色が黒くなる」とお考えのようですが、これは間違いです。
実際黒くなることも多いのですが、これは皮膚の炎症が治ったあとの色素(いわゆる炎症後色素沈着)であって、ステロイドの副作用ではありません。
この色素沈着は放っておけば2〜3ヶ月くらいで和らいできます(個人差もありますが・・・)。
 

 
15年ほど前から「ステロイドを塗ると、肌がボロボロになる」、「恐いくすりだ」などと言われ、「ステロイドは悪」という認識が世間に広まりました。
最近は少なくなりましたが、今でもステロイドは使いたくないとおっしゃる、いわゆる『ステロイド拒否症』の方に時々遭遇します。
その方達の中にはうわべだけの情報をすり込まれて、ただなんとなく恐いと思っているだけの方もいれば、実際にひどくつらい経験をされた方もいらっしゃいます。前者の責任は副作用の一部だけを誇張してかき立てたマスメディアに(多くは『長期間』という言葉が重視されていません)、後者は使い方を熟知していないまま処方している一部の医師に責任があると思います。

 
 確かにステロイド外用剤はひとつ間違えると大変なことになる可能性もあります。しかし正しい使い方を熟知した医師がそれを説明した上で処方し、患者様もそれをしっかり理解した上で正しく使って頂ければ、全く『恐ろしいおくすり』ではないのです!
 
 
どんなおくすりにも必ず副作用はあります。多種多様なおくすりがある中で、その一部に特化して精通しているのが各科の専門医であり、ステロイド外用剤の酸いも甘いも知り尽くして使いこなすことが出来るのは皮膚科専門医だけです。
皆様にはこのことを今一度ご理解して頂いた上で、我々皮膚科専門医を信じて治療をお受け下さい。
 


               
千歳皮膚科形成外科クリニック 院長 間山 淳
posted by 医療法人社団 廣仁会 at 11:20| 曇り| 一般皮膚科治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月23日

ステロイドは魔法のおくすり?

 皮膚科を受診すると、ほぼ必ずと言っていいほど処方されるのが塗り薬。
その中でも特に頻度が高いのがステロイド外用剤だと思います。
このおくすりは、湿疹やかぶれ、虫刺されといった誰もが一度は経験したことがあるものから、アトピー性皮膚炎などの慢性皮膚疾患、場合によっては乾癬やケロイドなどの難治性皮膚疾患にも使われ、いずれもかなりの効果をあらわします。

 我々皮膚科医にとってなくてはならないおくすりの一つであり、また多くの皮膚炎はこのステロイドで軽快すると言っても過言ではないかもしれません。
 
「それなら、皮膚病に全てステロイドを塗れば治るのか?」とか、
はたまた「そんなんじゃ皮膚科医なんて必要ないじゃないか」なんてお考えの方もいらっしゃると思います。
でも!ステロイドは決して簡単なおくすりではありません。
たくさんの種類があるため症状によって使い分ける必要がありますし、良い面ばかりではなく悪い面(いわゆる副作用)もありますので、その性質を熟知した上で正しく使わないといけないのです。
そのために我々皮膚科専門医がいるわけです。
 

 
 
それでは、ステロイドについて少し説明しましょう。
正式には「副腎皮質ホルモン」といい、元々は副腎という臓器でつくられるホルモンです。
これを人工的に合成したのがステロイド外用剤で、「抗炎症作用」と「免疫抑制作用」があります。
この作用で湿疹を治すわけですが、ステロイドを塗ると逆に悪化してしまう皮膚病もあります(例えば水虫、ニキビ、化膿した傷など)。
自己判断でむやみやたらとステロイドを塗らないようにご注意を!!

 ちなみに最近は「とびひ」(注1)に間違って塗って拡大させてしまうケースを時々見ます。また、北海道は暖房が発達しているせいか、冬でも「とびひ」が結構発生します(青森県出身の私にとってはカルチャーショックでした)。
道民の皆様、冬もとびひに注意です。
 


 
話を戻しましょう。ステロイド外用剤は、強さによって5つのランクに分けられています。
皮膚科専門医は症状の程度や部位、患者様の年齢に応じて適切なものを選択して処方します。
その中でも部位による使い分けは重要で、その理由は、部位によって外用剤の吸収率が異なるからです。
例えば腕を1とすると、足の裏は0.1、顔は15、陰部は40など(大体の数値です)。
すなわち、顔や陰部など吸収率が高い部位は、それだけ副作用が生じやすいということになります。

 使い方を誤るとあとで大変なことになりますので、家にあったステロイド外用剤を適当に塗ってみる、などということは絶対にしないで下さい。
特に顔面はステロイドの副作用が起こりやすく、一度発症してしまうと何年もつらい症状に苦しむことになりますので、お気を付け下さい。
ステロイドを塗る際には出来る限りこまめに皮膚科を受診し、その時の症状に合った強さのものを処方してもらい、かつ使い方を正しく守るようにお願いします。
 


 
さて、その副作用についてですが、具体的な説明はまた次の機会に・・・ 




1
*「とびひ」とは・・・正式には「伝染性膿痂疹」。
夏にみられる、子供に多い皮膚病。
あせもや湿疹、虫刺されなどをかきむしったところにブドウ球菌や溶連菌などが入り込み、かゆみのある水疱やかさぶたをつくります。

まるで「飛び火」のように全身に広がります。感染力が強くほかの人にもうつりますので、早めに皮膚科を受診してください。

治療は抗生物質の飲み薬と抗生物質入り軟膏を、完全に乾いて治るまで根気よく続けてください。
そして、1日最低1回はシャワーを浴び、しっかり石けんで洗浄を。

 

             千歳皮膚科形成外科クリニック 院長  間山 淳

posted by 医療法人社団 廣仁会 at 16:21| 一般皮膚科治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月24日

「今日も眠れない」と言うあなたに!最終章

 ちょっと不謹慎かもしれませんが、「朝○ち」は皆さんご存知のことと思いますが、これはレム睡眠中におこります。乳幼児や老人、女性にもみられます。朝方にレム睡眠の時間が長くなるにつれておおくなります。性的不能が真の不能か心理的原因による不能か鑑別するのにレム睡眠時のペニスの大きさを測ればよいことに気づいた学者が直径測定器を考案して、一部に実用化されています。

さて本題に入りましょう。
7. よく眠れるための工夫 
     @ 快適な、自分にあった寝室、寝具を用意する。
 
     A    
日中の精神的緊張や興奮を鎮めるための適当な食事、適量のアルコ            ール、軽い読書やテレビ鑑賞、就寝前の入浴、アロマなどを試みる。 
     B      
コーヒー、紅茶などカフェインの強いものを取らない。 
     C     
規則的な睡眠習慣をつくる。 
     D     
眠ろうとして過度の努力をしない。 
         ちなみに睡眠に適した環境は、温度が20~22度、
     湿度が50%〜70%です。光や音には個人差があります。
8. 理想的な睡眠薬とは 
   @ 
効き目が早くて確実である。 
   A 
夜中に目が覚めない。 
    B 朝
は気持ちよく起きられる。 
   C 
耐性ができて量が増える心配がない。 
   D    
中止しても禁断症状がでない。 
   E 
日中の精神身体機能に悪い影響を及ばさない。 
   F      
妊娠中服用しても奇形児が生まれない。 
   G      
誤って大量に飲んでも生命に別状はない。 
   H   
他の薬やアルコールと併用しても安全である。 
   I 
自然の睡眠と遜色ない。 
9. ベンゾジアゼピン系睡眠薬 
  現在世界で一番広く、多く用いられている薬です。
  
特徴は抗不安作用、催眠作用、抗けいれん作用、筋肉弛緩作用の4つの
   主作用を持っていることです。
   まとめると
 
   @ 
脳の情動系に作用して、不安、緊張を和らげ、眠りに導くので
    「睡眠導入剤」とも呼ばれ、自然の眠りに比較的近い睡眠を
     もたらします。
 
   A    
耐性を生じにくく、薬を増量しなくてよい。 
   B    
依存の形成が弱く、急にやめても退薬症状が軽い。 
   C    
大量服用しても命に別状はない。作用時間(半減期)によって
     分かれますが主な薬を列挙します。
  
     T  超短時間(血中半減期が2〜4時間)
     
       ハルシオン、非ベンゾジアゼピン系のマイスリー、アモバン
  
     U  短時間(半減期が6〜10時間)
    
       レンドルミン、リスミー、デパス、ロラメット
  
     V  中間型(半減期が12〜24時間)
    
       ユーロジン、サイレース(ロヒプノール)ネルボン(ベンザリン)
  
     W  長時間(半減期が24時間以上)
    
       ドラール、ベノジール
 
10. その他 副作用はあります。
    筋弛緩作用があるため翌朝、眠気やふらつきが一時的に残ります。
    高齢で筋肉の弱い方は軽めで筋弛緩作用の弱いものがお勧めです。
    また、1錠飲んで効かないため、半錠追加したりする方が
  いらっしゃいますが、翌日に持ち越し現象がでますので、
  その日はあきらめてください。
  ハルシオンのようにアルコールと一緒に服用すると全く覚えていないという
  健忘症がみられ、犯罪(催眠強盗)に使われています。
  ネオン街や金髪?の女性には注意しましょう。
  肝機能障害はアルコールに比べたら、安全と思いますが、
  定期的に年に1度の検査をお忘れなく!

長い間のお付き合いに感謝しております。
少しでも「眠れない」あなたの助けになれば私も安心して眠れます。
 

追伸;最近夜間急病センターに睡眠剤とアルコールで意識もうろう状態の患者さんの搬送されるケースが多くなってきております。
大量に服用しても死ぬことはないということと、胃洗浄や点滴と当直医は大変だということをご理解ください。
                    

                                               
追分診療所 院長 川端 誠
posted by 医療法人社団 廣仁会 at 17:25| 内科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月30日

「今日も眠れない」と言うあなたに!  B

 さて人はどれくらい眠らないで起きていられるのでしょう。
何日も眠らないと幻覚や錯覚が出てくるというのは本当でしょうか?ごく短い時間スーと眠り込んで起きるというマイクロスリープという現象が生じます。

よく経験するのは講義の最中にガクッと力が抜けてハット我に返る瞬間です。
長時間眠らないで頑張っていると立ったままで眠り込んでしまい、本人は起きているつもりでも、実際眠ってしまいます。
ノンレム睡眠からすぐレム睡眠に入ってしまい、夢が現れ、その夢が夢として捉えられずに幻覚として自覚するのだと言われています。
3日間が限度で何日も眠らないで起きていることは不可能だということを意味しているようです。
 
6. 睡眠の治療に入る前に皆さんがほんとうに不眠症かテストして見ましょう。
  @    昨夜はすぐ寝付けましたか
     1、すぐ眠ってしまった(15分以内)    0点
     2、少し時間がかかった (30分以内)   1点
     
3、かなり時間がかかった(60分以内)   2点
     
4、なかなか寝付けなかった(60分超)  3点
  A  およそ何時間眠れましたか
     1、8時間以上             0点
     
2、7〜8時間             1点
     
3、6〜7時間             2点
     
4、6時間未満             3点
  B  眠りの深さはどうでしたか
     1、ぐっすり眠れた           0点
     
2、割合よく眠れた           1点
     
3、やや浅かった            2点
     
4、かなり浅かった           3点
  C  夜中に何回目が覚めましたか
          1、0回                0点
         
2、1回                 1点
     
3、2〜3回              2点
     
4、4回以上              3点 
  D  目が覚めたあとどうでしたか
     
1、すぐ眠れた             0点
     
2、しばらく眠れなかった        1点
     
3、なかなか眠れなかった        2点
     
4、朝まで眠れなかった          3点
  E  夢はみましたか
     
1、まったくみなかった          0点
     
2、少しみた               1点
     
3、かなりみた              2点
     4、夢ばかりみて眠った気がしない     3点
  F  朝何時ころ目が覚めましたか
     1、普通の時間にさめた          0点
     
2、少し早くさめた(1時間以内)     1点
     
3、早くさめた(1〜2時間)        2点
     
4、かなり早くさめた(2時間以上)    3点
  G  朝目が覚めたときの具合はどうでしたか
    
          身体 1、体の調子はよい         0点
       
                2、特にかわらない         1点
       
                3、少しだるい、頭が重い      2点
       
                4、かなりだるい、頭が重い     3点
    
          気分 1、気分はすっきりしている     0点
       
                2、とくにかわらない        1点
       
                3、すこし気分が悪い        2点
               
4、かなり気分が悪い       3点
    H  日中はどうでしたか
    
          身体 1、体の調子はよい         0点
       
                2、とくにかわらない        1点
       
                3、すこしだるい、頭が重い     2点
       
                4、かなりだるい、頭が重い     3点
    
          気分 1、気分はすっきりしている     0点
       
                2、とくにかわらない        1点
       
                3、すこし気分が悪い        2点
       
                4、かなり気分が悪い        3点
  
   結果 @とAで点数の高い人は・・・・・入眠障害   
         B〜Eで点数の高い人は・・・・・熟眠障害
   
     Fで点数の高い人は・・・・・・・早朝覚醒型の不眠

  総合判定(合計点数)
 
        0〜2・・・・・きわめてよい
 
        3〜6・・・・・普通
 
        7〜9・・・・・不眠の傾向
 
        10〜13・・・軽い不眠
 
        14〜17・・・中等度の不眠
 
        18〜21・・・高度の不眠
中等度の不眠以上の方は
                        専門外来に行ってください。
        GとHの高い人も他が低くても専門外来を受診してください。 

どうでしたか?自信がつきましたか、それともますます不安になりましたか。
なんとなく疲れてきましたので、治療のくすりなどは次回の最終章にして、
皆さんと一緒に自立訓練法で眠りに就きましょう。
まず次の言葉を順番に繰り返しましょう。
    1   両腕、両足が重い
    2   両腕、両足が温かい
   
3   心臓がおだやかに規則正しく打っている
    4   自然に呼吸している
    5      みぞおちの奥が温かい
    6      ひたいが涼しい眠れるまで何度も繰り返しましょう。

ではお休みなさい。

                       追分診療所 院長 川端 誠
posted by 医療法人社団 廣仁会 at 15:54| 内科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月09日

「今日も眠れない」と言うあなたに! A

 床に入って寝ようとしても、全く眠れず、1時が鳴り、2時が鳴り、3時が鳴り、そのうち夜が白々と明けてきて、牛乳配達が来て、新聞配達が来てという経験はないでしょうか?この苦しみといったら! 
 
 余談になりますが、日本人の平日の平均睡眠時間は7時間43分です。ちょっと古いデータなので最近は短くなっているでしょう。男女別では女性の方が20分ほど短くなっています。睡眠時間の長いのは、小学生や70歳以上の男女となっていますが、逆に睡眠時間の短いのは女性の40歳代、女性の有識者と高校生です。面白いことに、長時間(9時間以上眠る人)睡眠者は不安傾向が強く抑うつ的で、短時間(6時間以下で良い人)睡眠者は行動的でよく社会に適応していて気分的には軽い躁傾向があるようです。すべてに当てはまりませんが。
 
 
 さて本題の睡眠・覚醒障害の分類に入りましょう。
5. 睡眠・覚醒障害とは何か。 
睡眠障害を訴える人の割合は20〜50%と非常に多く、受診する科も精神科、心療内科、内科、老人科と多岐にわたっています。
 T 不眠症群
    @
精神生理学的要因 ;一過性および状況因性                 
               持続性(不眠恐怖症、神経質症性不眠)
                                    A精神疾患     ;神経症や性格障害                                         気分障害(躁うつ病)                                         統合失調症(分裂病)
        B薬物やアルコール ;中枢神経抑制剤           
                              覚せい剤
           
                              アルコール
        
C睡眠時呼吸障害  ;睡眠時無呼吸障害                                          肺胞低換気
        D夜間のムズムズ症候群           など 
 
 U 過眠症群
    @ナルコレプシー   など 
 
 V 睡眠・覚醒リズムの障害
   
    @
一過性    ;時差ぼけ
             
             交代制勤務による障害
   
    
A持続性    ;頻回の睡眠・覚醒スケジュールの変化
                                              
             睡眠相遅延症候群など

 W 睡眠時におこる異常現象
   
    夢中遊行症(寝ぼけ行動)、夜驚症、夜尿症、夢による不安発作(悪夢)
    歯ぎしりなど。
 そろそろ眠気の出てくるころですね。
     
        
6. 夢のお話(宝くじに当たったとか、温泉を掘り当てたとかではなく) 
 夢はいつ見ているのでしょう。皆さんも聞いたことがあるかもしれませんが、レム睡眠のときにみることがわかっています。レム睡眠とは脳波上、睡眠の浅い、深いだけでは説明のつかない行動上に独特の特徴をもった睡眠が一晩のうちに約20分ずつ、4~5回入り込んでくることがわかりました。この睡眠のときに、眼球がピクピクとすばやく動いていることから急速眼球運動(rapideye movement 略してREM)を伴った睡眠ということでレム睡眠と呼ばれています。
 
 
 レム睡眠に入っているときに起こすと、80%の人が夢を見ていたと答えます。その内容も生々しく、良く覚えています。最初のレム睡眠は寝付いてから90分で現れます。その後2時間に一回の割合で一晩に4〜5回となります。
 
 金縛りはレム睡眠のときに全身の抗重力筋(姿勢を保つ筋肉)の緊張が消えて弛緩しているためなのです。足の親指から動かしていくと金縛りから逃れられます。ただし借金地獄からは逃れられませんのであしからず。
さあ良い夢をみましょう。

 
次回は不眠症の治療に入ります。

                       追分診療所 院長 川端 誠
posted by 医療法人社団 廣仁会 at 14:49| 内科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月20日

今日も眠れない」と言うあなたに! @


 こう言う私も通帳の残高と請求書を見てはため息であれこれと眠れなくなります。入金があるとホッとして眠れそうですが、今度は振り分けで頭がランランとなって冴えてくるのです。(最近の医者は厳しいのです。)それはどうしてでしょう?これからあなたを眠りの世界へと導きましょう。
 
そもそも眠りとは何でしょう?

1.  日周リズム(サーカディアンリズム) 人間は太陽が昇ると目覚め、陽が沈むと眠るという営みのもとに124時間の枠の中で睡眠と覚醒のリズムを保っています。太陽の届かない地下壕の中で時計を持たずに生活させると、平均24.9時間で1日を過ごすという実験があります。人間は時刻を知る手段のない状況のもとでも約24時間というリズムで睡眠と覚醒を繰り返すのです。こうした生まれつき備わっている24時間の周期的リズムを日周リズム(circadian rhythm)と呼びます。別名「体内時計」と呼んでいます。

2.  睡眠の役割 睡眠は内外からの欲求のもとに、体内時計が働いて、124時間の日周リズムの中でおこります。昼は自律神経系のうち、交感神経系が主に活動して仕事や勉強に、あるいは趣味に頑張るための準備をします。一方夜は、副交感神経系が優勢となって疲れを癒し、摂取した栄養を消化し、貯え、明日の活動に備えます。こうしたことは眠っている間にもっとも効率的に行われます。

3.  睡眠のしくみ 眠りの中枢は脳にあります。人は24時間の日周リズムのもとに夜は疲れて眠り、朝には元気を回復して起きる、と単純に考えると大変わかりやすく、事実そのとおりなのです。この体内時計とは別に、直接睡眠や覚醒が起こる中枢が脳の中にあるのです。この中枢が体内時計の働きも兼ねているかはまだ解明されていません。

4.  脳の構造と働き 脳には睡眠をもたらす抑制系(睡眠系)と覚醒をもたらす覚醒系があります。この二つの系が互いに拮抗したり、協調したりしながら働き、睡眠と覚醒が繰り返されていると考えられています。 覚醒系の中心は脳幹網様態という脳構造です。目や耳から入ってくる刺激や皮膚から入る刺激はインパルスとなっていったん脳幹網様態に集められ、視床から大脳皮質へ送られます。視床下部は大脳辺縁系(海馬と扁桃核)と結びついています。怒り、恐れ、悲しみ、喜びなどの情動をコントロールしているところであり、視床下部―辺縁系のつながりは覚醒系の興奮に一役買っています。何を隠そうこの視床―辺縁系こそがストレスによって興奮して不眠をおこすことになるのです。さて、内外からの刺激がこなくなり、この覚醒系が働かなくなり抑制系が優勢となり、覚醒が保てなくなり、自然と眠りに入っていきます。

 そろそろ眠くなってきましたね!今度は眠りをもたらす抑制系のお話です。視床下部前部、視索前野、延髄弧束核などの脳構造が抑制系を形成して積極的に睡眠をもたらせます。ここでも大脳皮質が「もう眠りたい」「もっと眠りたい」という意志を伝えて、睡眠を開始したり、維持したりする機能をもっています。 眠ろうと思えばいつでも眠れるのか?人によってはどこでも、いつでも眠れる人もいますが、興奮の残りやすい人は、覚醒系が常にチリチリと刺激されて、安心して休むことができず、十分な眠りが得られないことになります。これが不眠症に繋がるのです。さあどうぞお眠りください
次回はまた眠くなるように睡眠、覚醒障害の分類と不眠症の種類、です。

 
                                                                     追分診療所 院長 川端 誠
posted by 医療法人社団 廣仁会 at 11:38| 内科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする