その中でも特に頻度が高いのがステロイド外用剤だと思います。
このおくすりは、湿疹やかぶれ、虫刺されといった誰もが一度は経験したことがあるものから、アトピー性皮膚炎などの慢性皮膚疾患、場合によっては乾癬やケロイドなどの難治性皮膚疾患にも使われ、いずれもかなりの効果をあらわします。
我々皮膚科医にとってなくてはならないおくすりの一つであり、また多くの皮膚炎はこのステロイドで軽快すると言っても過言ではないかもしれません。
「それなら、皮膚病に全てステロイドを塗れば治るのか?」とか、
はたまた「そんなんじゃ皮膚科医なんて必要ないじゃないか」なんてお考えの方もいらっしゃると思います。
でも!ステロイドは決して簡単なおくすりではありません。
たくさんの種類があるため症状によって使い分ける必要がありますし、良い面ばかりではなく悪い面(いわゆる副作用)もありますので、その性質を熟知した上で正しく使わないといけないのです。
そのために我々皮膚科専門医がいるわけです。
それでは、ステロイドについて少し説明しましょう。
正式には「副腎皮質ホルモン」といい、元々は副腎という臓器でつくられるホルモンです。
これを人工的に合成したのがステロイド外用剤で、「抗炎症作用」と「免疫抑制作用」があります。
この作用で湿疹を治すわけですが、ステロイドを塗ると逆に悪化してしまう皮膚病もあります(例えば水虫、ニキビ、化膿した傷など)。
自己判断でむやみやたらとステロイドを塗らないようにご注意を!!
ちなみに最近は「とびひ」(注1)に間違って塗って拡大させてしまうケースを時々見ます。また、北海道は暖房が発達しているせいか、冬でも「とびひ」が結構発生します(青森県出身の私にとってはカルチャーショックでした)。
道民の皆様、冬もとびひに注意です。
話を戻しましょう。ステロイド外用剤は、強さによって5つのランクに分けられています。
皮膚科専門医は症状の程度や部位、患者様の年齢に応じて適切なものを選択して処方します。
その中でも部位による使い分けは重要で、その理由は、部位によって外用剤の吸収率が異なるからです。
例えば腕を1とすると、足の裏は0.1、顔は15、陰部は40など(大体の数値です)。
すなわち、顔や陰部など吸収率が高い部位は、それだけ副作用が生じやすいということになります。
使い方を誤るとあとで大変なことになりますので、家にあったステロイド外用剤を適当に塗ってみる、などということは絶対にしないで下さい。
特に顔面はステロイドの副作用が起こりやすく、一度発症してしまうと何年もつらい症状に苦しむことになりますので、お気を付け下さい。
ステロイドを塗る際には出来る限りこまめに皮膚科を受診し、その時の症状に合った強さのものを処方してもらい、かつ使い方を正しく守るようにお願いします。
さて、その副作用についてですが、具体的な説明はまた次の機会に・・・
注1:*「とびひ」とは・・・正式には「伝染性膿痂疹」。
夏にみられる、子供に多い皮膚病。
あせもや湿疹、虫刺されなどをかきむしったところにブドウ球菌や溶連菌などが入り込み、かゆみのある水疱やかさぶたをつくります。
治療は抗生物質の飲み薬と抗生物質入り軟膏を、完全に乾いて治るまで根気よく続けてください。
そして、1日最低1回はシャワーを浴び、しっかり石けんで洗浄を。
千歳皮膚科形成外科クリニック 院長 間山 淳


